国道425号
part1

R42坂場交差点〜県境
尾鷲市

 2008年8月、筆者は悩んでいた。来る8月10日にどの国道を走ろうかと。8月10日と言えば年の一度の“道の日”でありそれに相応しい国道でなければご先祖様(?)に申し訳が立たない。そこでチョイスしたのが全国に名を轟かすR425である。実はすでに2回完走しレポートも2度書いている。しかし尾鷲→御坊ルートでは未だ完走していない。という訳で2001年9月、2004年4月に続いて3回目の完走劇が始まります。

1.坂場交差点。行き先からして既にオカシイ 2.交差点付近拡大 3.容赦なく酷道が始まる
 R425の起点は三重県尾鷲市の中心部に程近いR42(とR311)との坂場交差点である。付近にはコンビニがあり、それがこの国道を走るに当たって重要な補給ポイントとなっている。そして最後の補給ポイントでもある。初っ端から最後?何を訳の分からない事と言ってるんだ、と思われる方もいるかもしれないが、それはこのレポートを見終わった後はまた別の完走を持つだろう。

 と、いささか長い前置きになってしまった。とにかく、この坂場交差点は四輪が西向き一方通行という規制があるだけでなく、墓場に隣接しているというまさに伝説として語られるに相応しいシチュエーションで始まる。墓を左手に見ながら進む。一方通行なので1.5車線と決して広くはないが、この道幅がR425のスタンダードだと思って間違いない。

4.ここは道なりに右へ進む 5.市道に対して「止まれ」 6.人々の生活範囲はこの辺りまで
 墓場を通り過ぎると道が二手に別れるが、ここは道なりに右へ進む。直後に一旦停止ポイントがあるが交差するのは件の一方通行区間の代替路となっている市道である。四輪で御坊から走行していればここで代替路に進まなければならない。坂場交差点からであればここで一旦停止して右へ進む。この辺りで民家がなくなり以降は町工場のような建物がいくつかあるだけとなる。坂場交差点からほんの500m程度である。それが尾鷲市内のR425の生活圏の全てと言っても過言ではない。

7.電光掲示板群に出迎えられる 8.有事の際はすぐに通行止と表示されるのだろう 9.連続雨量が200mm、時間雨量が40mmを超えると通行止
 町工場すらもなくなるといよいよ生活観はおろか人の気配すらほとんど感じられなくなる。その境目にはご丁寧に電光掲示板やら道路情報板、規制予告板が設置されていて場を盛り上げてくれる。それにしてもこの「落石のおそれ」やら「がけ崩れのおそれ」やらを見て、“通行止になっていない”と安堵するのは正常な感覚とは言えないだろうな・・・

10.億には坂下トンネルの3.5m制限高標識が見える 11.最初の短いトンネルは坂下トンネルにあらず 12.坂下トンネル
 前述の通りこの電光掲示板から先は人の気配はほとんど感じられない区間となる。R169池原交差点付近までの40km強、2時間強は孤独との闘いである。同行者がいれば別かもしれないが酷道素人であれば険悪なムードになる可能性が高い。
 1.0車線の狭路を少し走ると3.5m制限高の標識が立っている。補助標識に「坂下トンネル」とあるのでトンネルの高さが原因と容易に想像できる。程なくして名称不明の短いトンネルが現れるがこれは坂下トンネルではない。坂下トンネルはそこからさらに400m程先にあり異様な雰囲気の中を佇んでいる。これを見ると名称不明のトンネルはただの狭いトンネルにしか見えない。。

13.薄暗く湿った雰囲気はおどろおどろしい 14.道なりに右へ進んで橋を渡る 15.橋から見たクチスボダム
 坂下トンネルを抜けると背の高い木々に日光を遮られ薄暗く湿った雰囲気の中を走る。この手の酷道では特に珍しい光景とは言えないが、坂下トンネルの異様さが加味されていつも以上におどろおどろしく感じる。木々のトンネルを抜けると比較的景色は開けており空も見る事ができる。坂場交差点から約3.8kmでダム管理道と思しき道路との交差点を道なりに右へ進んで矢所橋を渡る。ダムの上流側(左側)に目をやるとクチスボダムが見える。重力式コンクリート・フィル複合ダムという珍しいブツのようです。

16.矢所橋の北詰は三重760との交差点 17.ここにも電光掲示板がある 18.クチスボダム管理施設か
 矢所橋を渡り切った先は三重r760との交差点となっている。簡易な案内標識とおにぎりとヘキサのシールやソトバと結構賑やかな印象があるが、このr760とてまともに通行できる事は少なく、筆者の訪問時もゲートは開放されているものの電光掲示板は「通行止」と表示されていた。過去2回も似たような感じである。この交差点付近にも電光掲示板があり少し前のものと同じく「落石のおそれ」と表示されている。
 r760との交差点を後にしてすぐにクチスボダム脇を通過する。その先にはダムの管理施設と思しき建物があるが普段は無人の模様。ちょっとした休憩スペースもあり、驚くべき事に自動販売機まで設置されている。件のコンビニで飲み物を買い忘れた場合はここで購入する事をお勧めする。ボッタクリ価格ではありません。

19.色々と突っ込み所のある看板 20.名称不明のトンネル 21.国道なのでおにぎりくらい立ってます
 意外な補給ポイントのクチスボダムを通り過ぎると再び静寂を取り戻す。というとクチスボダム周辺は騒がしいように思えるがまったくそんな事はない。ダムから1.2km程走ると左直角カーブとなりダム湖を渡る。橋の手前には奈良県側は大型車通行止という旨を警告する看板が立てられているが、既に三重県側もヤバイ気がするのは筆者だけではあるまい。橋を渡ると小さなトンネルを通過する。これまでの2つのトンネルと同様に1.0車線の狭いトンネルである。トンネル通過後は蛇行する又口川に沿うようにして道が続いている。
 坂場交差点から約8kmで尾鷲市清掃工場の前を通過する。廃工場などではなく現役の清掃工場でもちろん稼動している。よって尾鷲市街地からここまでは平日を中心に少なからず交通量があるものと思われる。本日(2008年8月10日)は日曜日だったため清掃工場に出入する車とはすれ違わなかっただけかもしれない。

22.勾配はほとんどないが小刻みなカーブが連続する 23.13t制限の橋はいくつか見られる 24.尾鷲市又口。廃の雰囲気が漂う
 清掃工場を過ぎるといよいよ日常的な交通がほとんどないと思われる区間に入る。道幅は1.0〜1.5車線と狭いもののガードレールの設置率は比較的高い。また路面状態も両側を除いては安定している。両側は・・・苔やら落ち葉やらが堆積しているのであまり寄り過ぎないように注意したい。また、勾配は意外なほど緩やかで車で走っているとほとんど勾配を感じない。
 坂場交差点から約10kmで又口集落となるが、国道沿線には集会所のような建物しか確認できない。林道を少し入ると建物があるようだが人が生活しているかどうかは不明。国道から150mも歩けば奈良県上北山村に入るというロケーションである。

25.狭いが割と走りやすい? 26.右手には文明(生活)の痕跡の石垣が!? 27.崖-道路-川というシチュエーション
 又口を過ぎても道路状況に変化は見られない。勾配の緩やかな1.0〜1.5車線の狭路を又口川沿いにひたすら進む。道路脇に目をやれば石垣が確認できそこには平坦なスペースがある。今となっては家屋があったという痕跡もなく、もしかしたら田畑だった可能性もある。が、ここに人々が暮らしていたというのはおそらく事実であろう。
 そういった生活の痕跡が残っているだけでなく、すぐ脇を流れる又口川との高低差が小さいせいもあって所謂「落ちたら死ぬ」感は薄い。しかし山側に目を向ければ切り立った崖となっている事が多く安心して走れるような状況でもない。今まであった電柱も又口集落辺りから途切れている。

28.路面の荒れが目立つようになってくる 29.尾鷲市街地から小1時間でこの風景 30.下を向けばひび割れた路面に落木
 県境に近づくに連れて道路状況が悪くなって行く。勾配は緩やかなままでガードレールの整備率も高いのだが、道幅は1.0車線の距離がどんどん長くなり、アスファルトに荒れが目立つようになってくる。小さな石ころや枝が落ちている事も多くなってくる。通行に支障のあるものは少ないが、それでも何度か降車、除去を余儀なくされる。

31.八幡トンネル 32.ここも池原ダム方向へ進む
 坂場交差点から約16kmで八幡トンネルを通過する。これまでの3つのトンネルと同じく1.0車線の狭いトンネルだが、これは今までで最長の450m強の距離を誇る。八幡トンネルを抜けた直後は新宮川の支流のひとつの古川を渡る。その先で道が二手に別れるがR425は右へ進む。左は林道で古川の上流まで続いている。地形図を見る限りは。

33.画像左下に目をやると・・・ 34.画像左し(ry
 古川を渡った直後にはロックシェードが備えられているもののそこ以外は落石防止ネットが張られているだけというパターンが多い。落石防止ネットなんて大した意味ないだろうと思ってしまうが、こいつは結構役に立っているはずだ。R425であれば彼らが頑張っている姿を見つけるのに何ら苦労はしない。彼らがいなければ落石は路面を我が物顔で転がっている事だろう。

35.県境に到着 36.はっきりと県境を主張する手法も健在 37.でも路面の境目とは少しずれている
 坂場交差点から走り始めて約19km、1時間で奈良県との県境に到着する。写真を撮りながらという状況ではあるが、時速19kmという数字には驚かされる。これでもR425単独区間では走りやすい方だと付け加えておく。
 三重・奈良県境は既に片手では足りないくらい訪れていて、最初の訪問から7年経っているもののこれと言って変化はない。他では見られない特徴的な県境を示す標識とその背後には見事に県境で別れた落石防止ネット。三重県側の支柱に貼られたおにぎりシール。しかしアスファルトの境目は標識の境目とは少しずれている。よく見れば山側の法面処理もアスファルトの境目の延長線上で左右異なっている。どっちが本当の県境(国道維持事務所の管轄の境)だろうか?

38.峠ではないので景色が特に良いわけではない 39.が、無駄に長居してしまった 40.坂場交差点方向を振り返る
 県境とは言うものの峠ではなくまして眺望は全く望めない。付近には乗用車が10台程停められるスペースがあるものの見るべきものは特にない。ここには異様な集客力を持つ世界遺産の熊野古道は接続しておらず登山道の類も見当たらない。まさに酷道マニアのためにだけ用意されたスペースと言えるかもしれない。
 一頻り国道の県境を堪能した後、R169(下北山村)に向かう。案内標識の「下北山 35km」は村役場までのの距離かR169までの距離か分からないが、どちらにせよまだまだ先は長い。ちなみにこの時点で総延長の1割しか進んでいない。

国道425号 part2