国道309号
part4

奈良r53川合交差点〜行者還トンネル
天川村

142.奈良r21交差点を右折 143.しばらくは2車線道路 144.もはや芸術の域に達していると言える狭まり方
 奈良r53川合交差点の直後に舟井橋で深谷川を渡り、その先の奈良r21との交差点を右折する。道なりに走るとr21に進んでしまうので注意が必要である。なお、r21は分断県道のように見えるが、終点が大峰山の登山口であり分断されている訳ではない。r21に交差しているr48の天川村と黒滝村の境がかなりの険道のようで、走行した日は災害通行止規制が敷かれていた。
 r21交差点からもセンターライン付きの2車線道路となっており、交通量が少ない事もあって非常に走りやすいと感じる。しかし2車線なのはr21交差点から400m弱までであり、集落が途切れる所で右側の路側線が接近してきて一気に1.0車線幅にまで狭くなる。天川村の中心部にも近いこの場所が本格的な行者還トンネル区間である。水越峠現道や広橋バイパス現道なんぞ足元にも及ばない酷道区間の始まりである。

145.鬱蒼とした杉林を走る狭路 146.右に見えている橋は村道 147.北角集落
 鬱蒼と生い茂る杉林の中を少し走ると景色が開けるが、道幅は1.5車線と狭い。川迫川に沿って走っていると川合発電所を通過して北角集落の川寄りを通過する。集落には天川村漁業組合があるのだが2015年9月頃に村役場付近に移転するようだ。釣りをしない筆者にはどうでもよい情報ではある。北角集落の東端には大型車の通行を制限する看板が立てられているが、それによると高さ3m以上、長さ7m以上の車両が通行不可とされている。

148.キロポストではない数字の標がある 149.川との落差は小さい 150.レストランみたらい
 北角集落を通り過ぎてからは川迫川に沿った狭路を走る。川と言っても大きな岩が多く渓流という感じである。ハイカーが歩いている狭路を走っていると対岸の遊歩道につながっている人道橋が架かっているが、何らかの理由で通行止になっている模様。その後も1.5車線山岳狭路を走っているとレストランみたらいを通過する。御手洗渓谷観光の拠点となる場所で山間部にありながら賑わっている事も少なくない。

151.みたらい橋 152.白倉橋の南詰は右折 153.白倉トンネル
 レストランみたらいを通過してすぐに右にカーブしてから山上川に架かるみたらい橋を渡る。1.5車線の狭い橋だが最近改修されたようで比較的新しく見える。みたらい橋のすぐ先にも建物があるがこれはみたらい休憩所という駐車場とトイレを備えた施設である。休憩所からはオーバーハングのある1.0車線幅の狭路を走り、白倉川に架かる白倉橋を渡った先の南詰を右折する。林道と思われる道路との交差点付近に乗用車数台が停められるスペースがあるが1時間300円の有料駐車場である。
 林道との交差点からは白倉川の左岸を走り、川迫川に合流する地点で左にカーブして白倉トンネルをくぐる。トンネル手前には3.0mの制限高を示す標識とその下に落石を発見した際に土木事務所か警察署に連絡をお願いする内容の案内が付いている。そこに電話までの距離が書かれており手前方向の100m先(みたらい休憩所の公衆電話を指すと思われる)はいいとして、行者還トンネル方面は24kmとかなり離れている。

154.三重県でもないのにおにぎりシールが多い 155.舗装状態が悪い 156.法面の小崩落はよく見られる光景
 白倉トンネルを出た直後は2.0車線と広くなるがすぐに1.0〜1.5車線狭路に戻ってしまう。隣を流れている川との高低差が小さく、ほとんどの場所にガードレールが設置されているため転落の恐怖は感じない。一方で路面状況は悪く法面が小崩落して土砂が流れ出ている箇所もあれば、舗装そのものの凹凸が激しい箇所もある。急なカーブはないが小刻みにカーブしており見通しは余り良くない。カーブミラーはそこそこ設置されているが、汚れていたり向きがずれているものがあるので頼りにできない。

157.ガードレールの設置率は高め 158.離合できない場所も多い 159.沢を渡る橋のガードレールにもおにぎりシール
 勾配のほとんどない平坦な狭路をひたすら走る。走行した日は直前まで雨が降っていたせいか対向車にも遭遇しないし、追い付いたり追い抜かれたりする事もなかったが、釣り客と思しき駐車車両は何台か停まっていた。奈良r21交差点から約3.7kmで双門の滝を通過するが、地図には記載されているもののどこにあるかは確認できなかった。滝があるらしい場所の近くで川迫川に車両が通行できる橋が架かっているが、チェーンが張られているため一般車は進入できない。

160.勾配はほとんどない 161.川迫ダムの横を通過 162.砂が堆積している場所もあった
 モジキ谷を渡るヘアピンカーブには林道らしき道路と登山道が接続しており、数台ではあるが車が停められるスペースもある。その後程なくして川迫ダムの横を通過するが、ダム湖は堆砂が多く湖面ではなく石が見えている面積の方が大きい。ちなみに川迫ダムの竣工は1940年と75年も前である。

163.堆砂を除去したものが積まれている 164.公衆トイレがポツンと建っている 165.キャンプ場らしき場所を通過
 ガードレールの外に大量の土砂が積まれているが、おそらく川迫ダムの堆砂を除去したものだと思われる。水がほとんどないためダム湖と言えるかどうか微妙だが、水があったとすれば南端になると思われう場所に公衆トイレが建っている。トイレ以外の施設はなく釣り客用だろうか。トイレから程なくしてキャンプ場らしき場所を通過する。奥には普通の家屋らしい建物もあるが人が定住しているかは不明である。

166.「全線 通行注意」 168.ガードレール設置率が落ちる 169.法面崩落復旧工事中
 キャンプ場を過ぎた所で林道時代の道路情報板が立っている。情報としては「全線 通行注意」となっていた。手前にあるひし形の標識は林道の名称を記したものだが文字は判別できない状態になっている。その後も川迫川沿いの狭路が続いているが、1.0車線の割合が増えており離合できない場所が多い。

170.凹部には水が溜まってしまっている 171.オーバーハングが恐怖心をあおる 172.法面崩落中
 随分奥に来たものの相変わらず隣を流れる川迫川との高低差は小さい。これまでも路面状況や法面の小崩落は何ヶ所もあったが、キャンプ場以降はその規模が少々大きくなっており、崩落に対しては巨大土嚢が置かれている場所も複数ある。

173.神童子谷林道との交差点を右折 174.苔むした欄干の橋を渡る 175.林道交差点からは上り勾配
 奈良r21交差点から約9.5kmで神童子谷林道との交差点を右折する。小さい標識を見逃す誤って林道に直進してしまう可能性がある。林道交差点を右折すると川迫川を渡るが、以降は川迫川から離れて支流の布引谷川沿いを走る。これまで川迫川沿いの区間は道幅は狭いながら勾配はほとんどなかったのだが、上り勾配となる。

176.落石の多さは変わらず 177.落石で舗装が破損した? 178.橋の前後に段差が生じている
 道幅は1.5車線程と狭く落石も至る所で散らばっており気を遣った走行を強いられる。落石だけでなく舗装の凹凸も多く、特に橋の前後は段差が生じてしまっている。谷筋を走っているとは言え徐々に標高が上がっているせいか日が当たる場所が多い。

179.おそらく落石注意 180.道路を横切る溝が段差になっている 181.路上河川(?)
 標高900m付近からは道幅が若干広くなって1.5〜1.8車線幅になる。落石が多い上り勾配であるという点に変化はない。橋の前後で段差が生じているとは書いたが、それ意外にも道路を横切る溝も段差になってしまっている。グレーチングで蓋をされている溝や鉄を埋め込んでスリットに水を流している箇所もある、車なら問題ないだろうがバイクや自転車はスリップに注意が必要となる。

182.砂防ダムがいくつも造られている 183.道幅は1.5〜1.8車線程度 184.景色が開ける
 いくつもの砂防ダムが造られた布引谷川を左にカーブしながら渡り、トラバースするように北東の方角に進む。相変わらず道幅は狭く路面状況も悪いが、時折視界が開ける場所を通る。落ちたら死ぬような場所だが一応ガードレールが設置されている。

185.「落盤注意」 186.剥がれたモルタルが落石防止ネットに引っかかっている 187.谷側ではなく山側の路面に穴
 等高線沿いを走っていると右にカーブして進行方角を南東に変えて小坪谷川の左岸の斜面を走る。標高は1000mを越えており山岳らしい風景となっている。法面は落石防止処理がされている箇所も多いが、落石防止ネットの下部に引っかかっているのが剥がれたモルタルというあまり笑えない状態となっている。また、通常落盤によって谷側の路面が欠損している事はよくあるが、この行者還区間においては流出する水の勢いのせいか山側に穴が開いている事がある。

188.雨後のせいか岩肌から全体的に水が出ているように見える 189.小坪谷を渡る 190.行者還トンネル
 行者還トンネルに近付くと舗装はされていないものの乗用車数十台が停められるスペースがいくつかある。熊野古道が世界遺産に登録されたため観光客が増大しており、通常であれば見向きもされないようなスペースを駐車場としており、こんな人里離れた山間部にもかかわらず料金を徴収されるようだ。乗用車で1日1000円という場所を考えると高額に思えるが、観光地価格と考えれば納得できない金額でもない。
 左にカーブして小坪谷を渡ると奥に行者還トンネルが見える。手前の左側にも有料駐車場と化した駐車スペースがあり、プレハブ小屋と工事現場にあるような簡易トイレが設置されている。手前の駐車場の料金はここで支払うのだろう。なお、トンネルの手前には熊野古道の大峰奥駆道、弥山山登山口が接続しており、駐車場もそれらを目当てにした登山客向けのものである。
 道路構造物である行者還トンネルに目を向けると断面の形状はごく普通で何の変哲もないトンネルに見えるが、名称が書かれている部分はシャッターの収納場所であり、冬季閉鎖時にはシャッターが閉ざされる構造である。以前は手前左側に車両通行止の規制標識と冬季閉鎖期間を示した補助標識が立っていたのだがなくなっていた。トンネルの全長は1151mで内部に照明は設置されていないが直線のため対向車に気付くのは容易である。幅は広いとは言えないが乗用車同士であればすれ違えない事もない。

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