国道425号
2004年版


走行データ
走行日 2004年4月29日
走行区間 和歌山県御坊市 R42塩屋北交差点
 →三重県尾鷲市 R42坂場交差点
走行方向 終点→起点
part1
part2
part3
part4
R42塩屋北交差点〜R371龍神交差点
R371龍神交差点〜R168滝交差点
R168滝交差点〜R169池原交差点
R169池原交差点〜R42坂場交差点
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R42北塩屋交差点〜R371龍神交差点
御坊市→印南町→龍神村

 近畿三大酷道のひとつであり、その名を全国に轟かせているR425。三重県尾鷲市と和歌山県御坊市を結び紀伊半島のほぼ中央を東西にぶった切るルートからも分かるように、ほぼ全線に渡って険しい山岳部を山肌にへばりつくように続いている。当然ながら非常にハードな道路状況となっており、生半可な覚悟で挑むと返り討ちに遭いかねないという、恐ろしい酷道である。2年半前の2001.9に完走しているのだが、関東に移住するに当たってこいつを走り直さなければなるまいと勝手に思い込んだため再度走り直した。よって以前のレポートも完全に書き直します。

1.R42北塩屋交差点を曲がると集落内の狭路として始まる 2.1.5車線が続く 3.突き当りを左折するとR425バイパスと合流する
 北塩屋交差点がR425の終点交差点だが、R42を走っていると北塩屋交差点には案内標識が設置されていない。少し南にある塩屋交差点には設置されており、おそらく湯浅御坊道路の整備に伴ってバイパスとして造られたのだろう。今回は北塩屋交差点より走行を開始している。
 北塩屋交差点からR425に入るといきなり生活道路の雰囲気全開である。交差点付近におにぎりがあるから国道だと認識できるが、なければ誰が見ても名も無きただの道だ。車線幅は1.5車線だが、側溝を有効活用できるので離合に困ると言うことはない。約2km走ると突き当たりにぶつかる。案内標識はないが左右どちらもR425であろう。右へ行くとR42塩屋交差点となる。ここは道なりに左折して東へと進む。

4.御坊南ICへのアクセス路として改良済み 5.御坊南ICへ続く交差点を過ぎた途端このザマ 6.御坊南IC以南へ延伸された阪和道
 バイパス(?)に合流すると改良されているだけあって2車線と非常に走りやすい。しかしそれは御坊南ICへのアクセス路となっている市道との交差点までである。交差点を過ぎるとセンターラインが消える。しかし離合には充分な幅があるし、その距離も短い。すぐにセンターラインが復活し、阪和道の下を通過する。前回はまだ建設中の橋脚が見えただけだったが、今では南部川村まで延伸されている。この辺りが御坊市と印南町の境である。印南町に入ってもしばらくは2車線が続くが、一部センターラインのない箇所もある。

7.和歌山r28との交差点。左折が2ヶ所あるので要注意 8.和歌山r28交差点を左折するとr28が左へ分岐していく 9.「山間部 落石 走行注意!」予告警告は大峠トンネルのもの
 北塩屋交差点より8kmほど走ると左手にJR紀勢本線が見えるようになる。その先で和歌山r28との交差点を左折するのだが、その手前にも左折ポイントがあるがR425は奥のほう。手前の踏切は無視して奥の高架橋のほうを左折する。ここで右を見るとトンネル採掘工事が行われている。もちろんR425のトンネルであり、全長200kmほどあるうちに唯一ともいえる大掛かりな改良工事である。左折してJRの線路を越えるとr28が左へ分岐していく。つまり踏切前後だけ重複しているということ。R425は2車線の快走状態が続く。

10.大峠トンネル。写真より実物の方がはるかに迫力がある 11.大峠トンネルの先はT字路となるがここは右折する 12.左記を右折直後。1.5車線が続く
 と言いたいところだがそうもいかない。2車線区間は距離にすれば1kmもあるかどうかというところだろうか。大峠トンネルの手前でセンターラインが消え1.5車線と絞り込まれる。トンネル入口から10mほどのところが木々で覆われており、なにやら異様なオーラを放っているような気にさせる。何の心構えもなしに実物を見ると結構ビビリます。トンネル内は狭くて乗用車同士のすれ違いもできないので入った者勝ち。
 大峠トンネルを抜けても1.5車線状態は続く。T字路にぶつかるのだが、ここには案内標識が設置されていない上に左右ともに同じような道路なので迷う所だろう。奥に小さく看板が立っているが、普段通っている者ならともかく初めて訪れる奇特な人には分かりにくい。ここは右折が正解である。右折してもしばらくは1.5車線が続く。

13.和歌山r30&r202交差点。R425は道なりに左へ進むだけ 14.和歌山r27交差点(御坊・川辺r27↑ →R425龍神・上洞) 15.r27交差点にある警告。つまり大型車はr27で戻れと言うこと
 少し進むと和歌山r203との交差点に出る。これを左折すればセンターライン付きの2車線となる。ちなみに和歌山r203は2車線である。三桁県道よりも格下の存在なのか・・・。ここからは2車線が2kmほど続く。R425の単独区間では最も長く続く快走区間なのではないだろうか?200kmもあるのにたった2km程度って・・・。
 2車線道路と快調にとばしていると和歌山r27との交差点に至る。R425はここを右折して龍神・上洞(かぼら)方面へ向かう。この交差点の案内標識のポールには印南町上洞で大型車が通行できない旨を警告が付けられている。つまりもし大型車がここまで来れば直進して和歌山r27へ進めということだろう。余談だがここで写真を撮っている時に2匹の珍走団がR425を右折して行った。夜の間に活動して巣に帰るとこだろう。

16.和歌山r27交差点を右折直後は広い2.0車線 17.部分部分だけ改良されていて非常に中途半端な感がある
  和歌山r27交差点を右折直後こそセンターラインはないもののすれ違いには充分な幅があり、じきにセンターラインが現れる。山間部のローカル国道といった雰囲気の中を進んでいく。当然ながらこの状態は長く続かない。

18.宝ヶ○トンネルを抜けると1.0車線となる 19.そんな狭路にもおにぎりで国道であることを主張している 20.印南町上洞。郵便局もスタンドもあり地域の中心といった感じ
 ほらね。宝ヶ○トンネル(正確な名前は失念)を抜けると狭路が出現する。1.0車線が切目川沿いに続く。川沿いということでカーブが多いのだがきついカーブやブラインドカーブは少ない。いくつかの小さな集落を結びながら東へと進んでいく。ガードレールは転落の危険性が高い箇所には設けられており、精神的に幾分か楽に通行できる。それが無い箇所は集落というパターンが多いのでもし何かあっても助けを呼ぶなりできるだろう。
 和歌山r27との交差点の警告にあった印南町上洞で和歌山r196とのT字路に突き当たる。案内標識もあるし迷うことはないだろうがここは左折する。ここは周辺地域の中心的場所のようで郵便局やスタンドなんかがある。

21.上洞以降も狭路はまだまだ続く 22多分和歌山r196とのY字路だと思う。R425は右、龍神方向へ
 印南町上洞で一時的に活気のある街となったがその距離はわずかである。また元のとおり、1.0車線の狭路に戻ってしまう。これ以降もまだ集落があるせいか路面はしっかりしており、狭いことを除けば走りにくいということはない。ただしあくまでこれは筆者の感覚であり、離合できない区間が断続的に続くので対向車の存在に結構神経を遣う区間である。

23.川又トンネル。川又の集落以東は2車線となる 24.龍神村との境に近づくとセンターラインがなくなる
 印南町最後の集落、川又を過ぎるとセンターラインが現れる。狭路が続くと思っているとこれに拍子抜けしてしまう。が、集落内の狭路で磨り減った神経を休めるには丁度良い。ナイスな計らいをしてくれるものだ。途中、センターラインが消える箇所もあるが、この状態は龍神村との境である鹿屋トンネルまで続く。龍神村の境までちょうど1時間で到達した。距離は約30kmなのであまり良いペースとは言えない。

25.龍神村は1.5〜2.0車線でアスファルトの目が粗い 26.比較的勾配は緩く、普通の酷道といった感じ 27.R424交差点を右折して重複区間に入る
 龍神村に入ると下りへと転ずる。道幅は1.5〜2.0車線と狭くも広くもない状態が続くが、交通量がほとんどないので精神的には楽に走れる。民家が周辺になくもの寂しい印象は受けるものの、酷道のレベルとしてはさほど高くない。
 印南町との境から約4kmでR424との交差点となる。両国道合わせて849、当然ながら信号はない。しかしR425に「止まれ」の表記がないのはR425のわずかながらの反抗だろうか?

28.R424重複区間は2車線の快走路が続く 29.R424分岐手前は1.5車線となる 30.R424交差点にあった横に並んだふたつのおにぎり
 R424交差点を右折して重複区間に入る。日高川沿いの2車線快走路である。R424も酷道の範疇に入るがだいぶ整備の手が入ってきており、たった1つ違いの国道同士でここまで差が出てきている。道の駅「水の里 日高川龍游」を通り過ぎてしばらくするとそれまでの快走路から1.5車線の狭路となる。そのままT字路に突き当たるが、それがR424と分岐する交差点である。重複距離は約7kmである。R425は左折して新宮・中辺路方面へと進む。どっちもR425が通っていない市町だけど。

31.福井橋をクランク状に渡る 32.福井橋と宮ノ瀬橋の間の区間 33.宮ノ瀬橋もクランク状に渡る。こちらは1.0車線幅と狭い
 R424と分岐するといきなり集落内の民家と民家の間を縫うように走る在所の雰囲気をたっぷりと醸し出す国道となる。道幅は1.5車線だが、民家の軒先が迫っているので実際の幅以上に狭く感じてしまう。
 日高川を左手に見ながらR424交差点から300mほど進むと左折して福井橋を渡る。渡り終えると今度は右折と、橋の前後でクランク状に進むことになる。No.32の状態のあぜ道に毛の生えた程度の道路を1kmほど進むと今度は右折して宮ノ瀬橋を渡り、渡り終えると左折させられる。つまり宮ノ瀬橋を渡り終えた地点を右折すると、福井橋を渡る前の地点に戻るということになる。なぜこちらが国道に指定されなかったのか不思議に思うが、もしかしたら道が繋がっていないのかもしれない。ここは酷道R425だけにその可能性は充分にあるが確認はしていない。

34.六地蔵トンネルの西から2車線となる 35.龍神村役場付近。R371重複区間の始まる場所でもある 36.R371龍神交差点。右折して小又川トンネルに入る
 宮ノ瀬橋を渡ってもしばらくは1.5車線の狭路が続くのだが、六地蔵トンネル手前の橋からはセンターライン付きの2車線となる。日高川沿いということで多少きついカーブもあるが整備されているので誰でも問題なく走れるレベルである。途中、南部高竜神分校付近にセンターラインのない箇所があるが、乗用車同士なら問題なく離合できる幅である。
 龍神村役場(←パッと見、役場に見えない)付近でR371が右から重複してくる。R425は直進なので気付かないこともあるかもしれない。筆者は近畿の国道の路線はそれなりに把握しておりR371を完走したことあるので分かるのだが、国道素人であれば知らん間にR371の表記となってたってことになるだろう。何が言いたいかと言うと、ここではR371よりもR425の存在感の方がデカイということだ。いくら300番代とは言え2ヶ所も分断箇所を抱えていりゃなぁ・・・。それぞれ紀伊半島を東西・南北に結ぶ超一流の酷道なのでそれらの重複区間も酷道に違いないと思いきや、センターライン付きの2車線と非常に整備されている。約14kmの重複区間も快適にとばすことができる。これから通ることになる牛廻越に備えてのつかの間の休息という感じがしてならない。
 そんなこんなでR371龍神交差点に到着。こいつを右折して十津川方面へ進む。先に言っておくが、これから先の牛廻越は印南町の酷道区間とは比べ物にならないほどハードである。



R371龍神交差点〜R168滝交差点
龍神村→十津川村

 R371龍神交差点を右折するといよいよ最大の難所とも言える牛廻越である。全線が難所の塊とも言えるR425において最大と言う位だからはっきり言ってとてつもないハードかつヘヴィな状態である。年に何度か転落死亡事故が起こっていることからもそれが分かる。初心者はもちろんこの手の酷な道に慣れていない者は踏み入れない方が身の為。

37.小又川トンネルだけは2車線 38.小又川トンネルを十津川村側より撮影(2001.9) 39.2車線から一気に1.0車線まで絞り込まれる
 龍神交差点を右折するとすぐに小又川トンネルとなる。センターライン付きの2車線でそれを抜けた先には・・・1.0車線の酷道が口を開けて待ち構えていた。トンネルを抜けるとそこは酷道だった、と某文学的小説も真っ青な演出がなされている。小又川トンネルとの落差が激しいが完成前の旧道はもちろん狭路である。現在は国道から降格しているが、廃されたわけではなく民宿等もあるしバス路線にもなっている。

40.龍神村小又川だけは2車線となる 41.龍神村上瀬。最後の集落でありこれ以東に人家なし
 トンネル後の狭路は短く、龍神村小又川の集落に入るとセンターライン付きの2車線となる。しかし集落の途中でセンターラインがなくなり1.5車線と狭くなる。小又川の2車線が和歌山県側最後のそれであり、これ以降はセンターラインなどまったく存在しない。

42.だったらガードレールを付けとけ! 43.その第一歩はやはりガードレールの設置だろうか 44.ガードレールはないがおにぎりはある
 集落が途切れるといよいよ本格的な山道となる。この牛廻越の特徴として、狭いということもさることながらガードレールがほとんど設置されていない点が挙げられる。「転落死亡事故多し」とでかでかと警告しているが、それはガードレールがないからだろうと突っ込みたくなる。谷側は小又川となっており結構な高さなので、落ちたらまず助からないだろう。木々がクッションになってくれるかも、という甘い考えはここでは通用しない。

45.アスファルトとコンクリートの競演 46.県境までの距離が2kmおきに分かるシステムとなっている 47.左の写真と同じ場所で撮影。方面はコンクリート処理
 ガードレール以外の特徴としては道幅の狭さだろうか。見れば分かるように1.0車線が続いており、広い所でも1.5車線である。それだけならまだしも退避スペースがあまり用意されていないのだ。あっても落石・落木で埋まっていたり、舗装されてなかったりする。離合のタイミングには非常に気を遣うはずなのだが、こんなところでは対向車が現れるのも稀である。だがカーブの先からにゅっと出てくる可能性は否定できないので油断は禁物である。カーブにはわりとミラーが設置されているのだが、イマイチどこを写しているのか分かりにくく当てにできない。

48.ヘアピンカーブだが勾配はきつくない 49.左のヘアピンカーブのミラー。だったら・・・(以下略) 50.山側には落石が目立つ
 さらに特徴を挙げると、落石は異常とも思えるほど多い。これが国道でなければ驚くに値しないのかもしれないが、ここはれっきとした国道425号線である。中にはコンクリートで法面が処理されている箇所もあるが、ほとんどは落石ネットを張っただけなので路面に石が散乱していることも多い。また山側に石が崩れ落ちているのもよく見かける。当然路肩も弱いわけで落石を避けるために不用意に谷側に近づくのも危険である。かと言って落石をまともに踏むとパンクする可能性もある。ただでさえ狭い道をスラローム走行の如きハンドル操作を要求される。

51.県境まで0kmの地点。これがあるのはほとんど県境である 52.奈良県十津川村-和歌山県龍神村 53.これも峠にあった。迫西川は十津川村でも秘境中の秘境
 県境まで12km、10km・・・と2kmおきに立っている標識を目安にどんどん進んでいく。もっとも道路状態がああなので精神的には2km以上あるんじゃないかと思えてしまうのだが。しかしそれでも異次元を走っているわけではないので県境に着くことができる。カウントダウンを表示しているくらいだからR303八草峠のようなのを想像していたが、なんてことはない普通の飾り気のない峠だった。案内標識と小標識の数は多いからまだ活気があるほうかもしれない。目的地までの距離が書かれた標識が4本(うち2本に県境標識がくっついている)、小標識が2本(No.51,53)立っている。前回来た時はこんなにいっぱい無かったと思うのだがなぁ。
 参考までにR371龍神交差点〜牛廻越は15kmほどだが40分かかっている。ほぼ全行程が1.0車線の狭路でカーブも多いので勾配がきつくなくともスピードは全然上がらない。

54.新旧二つあるがどちらも表示している箇所が異なる 55.色といい大きさといい異様に非常に目立つ 56.十津川村に入っても相変わらず狭く落石が多い
 No.54と55も峠にあるもの。2本の距離案内標識はどちらも同じ地名が書かれていない。新しい方は五條と新宮という市名だが、もう一方は温泉地温泉と十津川温泉と温泉しか書かれていない。和歌山側も同様で市村名のものとともに龍神温泉のものが立っている。さらにそれ以上に目立つのが真っ赤の巨大な警告。「この区間 転落事故多発 気をつけて通行して下さい」和歌山県で見られたミラーポールの奈良県バージョンとでも言えばよいのだろうか。とにかく目立つ。がこれを見ている時点でかなりハードな道を通過してきたことを意味する。
 いよいよ峠を後にして奈良県へと進入する。まぁ、奈良県に入ると整備された道だったなんてことは夢のまた夢。1.0車線の狭路でガードレールもほとんどなく落石も多い。峠からすぐの場所に「R168まで29km」と記されているが、29kmも酷道が続くと言うことを暗に告げているように思える。

57.山岳部に突如として現れる通学路の標識にビビル 58.龍神村側以上に極悪な道路状況が続く 59.十津川村迫西川。どう見ても国道というより在所の道
 相変わらずの酷道を走っていると峠から3kmほどでいきなり通学路の標識が現れる。辺りには民家が見えないのでこれの登場にかなり驚いてしまった。龍神村側は小又川以降の10km超は集落のない区間だったが、十津川村側はたった3kmで集落が現れる。十津川村迫西川湯ノ野である。と言っても数軒の家が建っているだけですぐに通り過ぎてしまう。
 この迫西川という集落自体は結構大きなものなので小学校もある。しかし民家の途切れる区間は落石・落木の類が路上に散乱しており今まで以上に走りにくい。この区間の落石は他の追随を許さないくらい落ちている。とても奥に集落がある現役の国道とは思えん。もちろんガードレールなんて高級品はないし、退避スペースもかなり少ない。そんな状態だが、なんとここはバス路線でもある。終点は湯ノ野で、一番奥まで来ている。対向車で来たら最悪だなーと思っていたら来ました(No.58のような状況の場所)。マイクロバスとは言え普通車より大きいことは事実。山側にギリギリ寄ってやり過ごそうとしたが左側面を少し擦ってしまった。クソっ・・・

60.迫西口バス停付近。時間帯通行止め規制がかかる 61.十津川村小坪瀬。小さな集落をいくつも結びながら進んでいく 62.岩をくり貫いたトンネル。秘境と思いきやすぐ近くに民家あり
 迫西口バス停付近(地図)では工事が行われていた。小又川トンネルを抜けた場所に工事予告の看板があったが、2004.5.12〜6.12の間は時間帯通行止め規制がかかるようだ。酷道はこれが恐ろしい。交互一方通行にできないので時間を区切って工事を行うのだ。トレース中にこれにひっかると大きく時間をロスしてしまう。
 迫西川の集落を過ぎるとしばらくは民家が途切れる。狭いし路面は悪いしガードレールはないしと酷な要素がたっぷり詰まった道路を通ることになる。国道だから大丈夫だろうという考えで入ってくると発狂してしまうかもしれない。西川沿いにくねくねと進んで行くと次の小坪瀬の集落に入る。集落の中も道幅は狭いが、落石の類がなく路面が綺麗なので走りやすく感じる。一応はガードレールも設置されている。
 小坪瀬を過ぎ、橋を渡った先がT字路となっている箇所があるが、ここは右が国道である。尾鷲側から来ると左折して橋を渡る。ミスコースしやすいポイントだが案内は一切なし。それをクリアするとしばらく民家が途切れる。次の集落、栃尾に入る直前にNo.62の岩をくり貫いたトンネルを通る。これを抜けた先が栃尾である。

63.集落のない区間はこの状態が続く 64.山側は落石、谷側は転落と危険に挟まれている 65.小集落が連続していてこれがどこか憶えていない
 栃尾の集落を抜けるとまた民家が途切れる。これ以降も集落を結びながら進んでいくのだが1.0〜1.5車線と狭路が続き、集落がなければガードレールはなく落石などで路面は荒れ放題なので非常に気を遣う。酷な区間の距離が長いので生半可な気持ちで突っ込むと泣く事になる。しかしまぁ、ここに住んでる人は日常的にこんな所を通っているのか・・・

66.片谷集落への道との分岐。国道は右折して橋を渡る 67.場所失念。峠にあった赤色の警告標識と同じやつ 68.新西川トンネル。ここはセンターラインがある
 途中にいくつか枝道が派生しているが、小坪瀬のもの以外は道なりに進むか、そうでなければ案内が表示されている通りに進むとよいだけだ。いくら国道と枝道が同じ状況でも間違うことはないだろう。No.60は片谷という集落への道が分岐する地点だが、国道は右折して橋を渡るほうである。写真の中央に写っている案内を見れば間違うことはないだろう。
 さらに車を進めると昴の郷というアウトドア施設の前を通る。これの直後に新西川トンネルとなるのだが、ここからセンターラインが現れる。トンネルの出口には奈良r735との交差点がある。実はこの奈良r735は県境を経て和歌山r735となり龍神村役場付近でR371まで続いており、実際はR425よりもこちらの方が利用頻度が高いらしい。もっともこちらもそれなりにハードな険道のようだが。

69.R168ワラビ尾交差点。これを左折して重複区間に入る 70.R168重複区間
 新西川トンネルを抜けてすぐにまた狭くなる。何やトンネルだけかい!と思うがすぐにR168ワラビ尾交差点となる。信号はない。そう言えば信号を見たのは龍神村役場付近で最後だなぁ。R425はこれを左折して重複区間となる。
 R168はさすがにそれなりに整備されておりセンターライン付きの2車線が続く。大型連休の初日にしては交通量が少ない気がするがこれは9:00という時間のせいかもしれない。100番代の国道とはいえまだまだ酷道区間の残っており、折立以北は1.5車線と狭い。が、牛廻越を通った後では何ら問題なく通ることができる。走りやすいか走りにくいか問われたら間違いなく走りやすいと答えるだろう。
 ワラビ尾交差点より9km先の滝交差点を右折すると単独となる。ここからR169までの区間は牛廻越に勝るとも劣らない酷道を通ることになる。

 牛廻越を含むR371〜R168の区間を見て頂いた。状態は写真と本文を参照してもらうとしてここではデータ絡みのことを書いておこう。R371龍神交差点〜R168ワラビ尾交差点までの距離は約45kmで、かかった時間は約2時間。写真撮影や小休止の時間を含んでいるとは言えかなり遅いペースで、時速にすると20km/hちょっと。遅い、遅すぎる!確かに1速・2速がメインでたまに3速に入れたくらいだ。これらからも生半可な気持ちで通るような所ではないことがわかるだろう。2時間ずっと酷道を走れますか?落石も多く路肩も弱いですよ。逝きたいなら止めはしませんが充分ご覚悟の上でお願いします。



R168滝交差点〜R169池原交差点
十津川村→下北山村

71.R168分岐直後の隧道(名称不明、R168を向いて撮影) 72.名称不明の隧道から下北山村方向を撮影 73.滝が流れているなど自然に満ち溢れた酷道
 信号のない滝交差点を右折すると再び単独区間となる。もちろん酷道区間の始まりである。道幅は1.5車線で交差点直後にNo.71の隧道に出迎えられる。普通車同士の離合ができるかどうか怪しいところだ。トンネルを抜けると集落があるのだが、その先にも同じ風体の芦原瀬隧道がある。二つ目は緩やかな右カーブになっており電気もなく真っ暗なのでかなり視界が悪い。
 芦原瀬隧道を抜けると民家が途切れる。道幅は1.0車線と狭く退避場所も少ないが、ガードレールの設置率も高く路面も思ったほど荒れていない。芦廻瀬川沿いとなっており国道から滝が望めるのでマイナスイオンの補充にはいいかもしれない。この先いくつか名前の付いた滝があるのだが、それを撮影している滝マニアがいた。酷道マニアにどうこう言われたくないないと思われているかもしれないけど。

74.十津川村大野への分岐地点。看板がなければ迷うだろう 75.この区間も落石が多い 76.橋も道幅にあわせて1.5車線
 滝交差点より3kmほど進むと分岐が現れる。案内看板があるので間違うことはないが、なければどちらに進むべきか悩むポイントに違いない。R425は直線的に右の川沿いを進む。左方向の上りは大野という集落へ至る道である。この分岐以降も芦廻瀬川沿いの狭路をくねくねと進んでいく。奥にも集落があり一応はバス路線にもなっているのだが、路面には落石が散らばっており牛廻越同様に危険な雰囲気が漂っている。ただ、ガードレールの設置されている割合が多く、落石箇所も少ないのでまだ精神的な余裕を保つことができる。ただしあくまで牛廻越と比較した場合の話である。中には人間の頭より大きな岩が落ちていることもあるので楽観視することはできない。

77.一部ではきつい勾配もあるがほとんどは緩やか 78.R169田戸付近に至る村道との分岐。沿線には集落もある 79.断崖を這うようにして進む
 芦廻瀬川沿いにうねうねと進んでいく。狭い上に山側には落石、谷側には落ちたら助からないような谷が口を開けており、酷な道には変わりないのだが、勾配が緩いのがせめてもの救いである。しかし小刻みなカーブが連続するのでスピードを出すことはできない。
 滝交差点から約8km走ると分岐を示す案内標識(青看板)が現れる。こんな山深い所にこんな立派な案内標識があること自体が驚きだが、この村道沿線には集落があるという。R425近くにちょろっとあるのはなく、R169に至るまで集落が点在しておりバスも通っているようだ。まぁ、しかしとんでもないとこに住んでいるものだ。余計なお世話だろうけど。
 この分岐から少し走ると「21世紀の森」という植物公園がある。GWの初日でありこういった施設は観光客がいつも以上に多く訪れる日なのだろうが、ここに至るまでにすれ違った(追い抜かれた)車は数台だけであった。だが、先ほどの集落への村道分岐然り、この21世紀の森然り、ここまでは地域住民や観光客が通ることがあるのだが、これ以降は集落も何もない。するとどうなるかは鋭い読者諸兄にはお分かりだろう。

80.落石でガードレールが破壊されている 81.おにぎりがなければ誰も国道とは思うまい 82.前回はこの距離標識は無かったような気がする
 21世紀の森以降は集落がないので道路状況は一気に悪化する。道幅やカーブのくねり具合などはそれ以前と少しも変わらないのだが、落石が際立って多くなる。路面に散らばる小石は言うに及ばず、山側には落石防止ネットを今にも突き破らんとしそうな落石群が押し寄せている。中にはネットを突き破っているものすらある始末だ。また谷側へ目を向ければ落石の直撃を受けてぼこぼこに凹んだガードレールがある。ひどいのになるとガードレールが完全に潰されていたり支柱が宙に浮いていたりする。その様子からも恒常的に落石があるものと思われ、通行には危険と恐怖がつきまとう。気の弱い方なら発狂してしまいそうな状況である。
 そんな危ない断崖路を進んでいく。勾配はきつくないのだがそれは距離が長いことを意味する。小刻みなカーブが嫌というほど続き、スピードが上がらないのはもちろん、カーブの先にもし対向車がいたらと思うと落ち着かない。こんな所を通る車などいないだろうと思っていると対向車が現れたりするので過信は禁物である。

83.白谷トンネルが十津川村と下北山村の境 84.白谷トンネル。長い直線だが狭くて両端に側溝がある 85.白谷トンネルでR168方向を向いて撮ったもの
 ハンドル、アクセル、ブレーキ、クラッチと格闘しながら進んで行くと林道との分岐がある。白谷池郷林道と言ってR169に出る直前のR425に接続している。案内は出ていないのだが、見ればどちらが国道かはおそらく分かるだろう。林道はほぼ全線に渡ってダートとなっているようだ。
 その林道分岐からR425の様子は激変する。それまでの緩やかな勾配とはうって変わって急勾配となる。しかも路面はアスファルトなのかコンクリートなのか判別し難い。その距離は数百メートル程度と短いのだが、それが終わっても勾配はきつくヘアピンカーブの連続する道路となる。もちろん今まで同様に落石・崩落が多い。
 その状態をしばらく走るとようやく白谷トンネルに到達する。十津川村と下北山村の村境のトンネルである。R168滝交差点からようやく一区切りつけられる場所でもある。約24kmのところを1時間弱かかっている。白谷トンネルはR425単独区間でよく見られる1.5車線幅のトンネルである。乗用車同士のすれ違いができるかどうか怪しいところだ。両端に側溝があるので中ですれ違おうとするとそれにはまってしまいかねない。距離は長いものの一直線で見通しが良いのが幸いだ。

 牛廻越からこの白谷トンネルまでが奈良県十津川村である。奈良県の面積の6分の1を占め日本一広い村だけあって、それを東西に貫いているR425の距離は63kmと長い。R168重複区間など極々一部を除いて1.0〜1.5車線のカーブの連続する断崖路なので通過に2時間半ほどかかっている。

86.白谷トンネルを抜けて下北山村に入る 87.どこの奥地に迷い込んだんだと問い詰めたくなる 88.カナウナギトンネル。なぜ「カナウナギ」なのかさっぱりだ
 白谷トンネルを抜けると下北山村となる。トンネルを出た直後は眼下に雄大な景色が広がり今までの苦労を忘れてしまうような気がした。林道や廃道に行った方が秘境の度合いが高いかもしれないが、軟弱者の筆者は車で進入できる所しか行かない。それでも自然の雄大な景色を見ることができるのだ。白谷トンネルの下北山側はそんな景色があることをまったく予想していなかっただけにしばし眼下に広がる景色に見とれてしまった。
 道路はと言うとこちらも十津川村同様に断崖を走る山岳路なのだが、若干整備の手が入っているのか幾分か走りやすい。1.5車線と狭くて小刻みなカーブが連続するという点は変わらないのだが、少なくとも落石の類があまり落ちていないので路面状況はましになっている。
 白谷トンネルから4km走るとカナウナギトンネルが現れる。わけ分からない名称のトンネルだが1.5車線のいたって普通のトンネルである。これ以降も1.0〜1.5車線の断崖路を徐々に下っていく。

89.十津川村に比べて幾分かましになった路面 90.奈良r229付近からはセンターライン付きの2車線となる 91.寺垣内トンネル
 小さな川沿いに東進していく。比較的緩やかな勾配でガードレールもわりと設置されている。小刻みなカーブが連続しているのだが、きっついヘアピンは少ない。白谷トンネルを抜けた直後の数箇所とカナウナギトンネルを抜けてしばらく走った後の数箇所くらいだろうか。もっとも辺りに集落はなく寂しげな雰囲気が漂っている。
 下北山村に入って5kmほどで奈良r229との交差点となるのだが、その手前からセンターライン付き2車線となる。R168重複の十津川村折立以来のセンターラインの登場に思わずアクセルを踏む足に力が入る。奈良r229交差点はT字突き当たりとなっているのでこれを左折して下北山村役場方向へ向かう。さすが村役場付近、R425単独といえど立派な2車線道路である。寺垣内トンネルを通過しこのままR169まで快走できるのかと思ってしまう。

92.下北山村池峰の集落。ここは2.0車線 93.池の平公園を過ぎると1.5車線となりカーブもきつい 94.池原橋付近からは再びセンターライン付き2車線となる
 だがここは酷道425号線、そうは問屋が卸してくれない。池峰の集落でセンターラインが消えて2.0車線になったかと思った矢先、池の平公園を通過すると1.0車線の薄暗い杉林の中の狭路となる。明神池を右手に池神社を左手に見ながら進んで行くと断崖路となる。木々の間からはるか下に集落や道路、川が見えるのだが、それこそ池原の集落でありR169であり北山川である。その高低差と距離の近さから明神池〜R169までの区間はヘアピンで大きく高度を下げる。一気に下って北山川沿いに進むとセンターライン付き2車線となる。

95.R169上池原交差点を左折して重複区間となる 96.案内では直進のようだが実際は左折となる。 97.R169重複区間
 北山川を渡ってすぐにR169上池原交差点となる。なんと珍しいことに信号付きの交差点である。感応・押しボタン式だが信号は信号。曖昧な記憶だがまともな信号は龍神村役場付近以来だろうか。その間110kmほどである。ま、そんだけ信号がないといっても気持ち良くとばす事ができるのはそのうちに10km程度だけど。
 R425は上池原交差点を左折してR169重複区間に入る。当然ながらR425の案内は一切されていない。ちなみにR309の重複路線でもあるのだがそれを示す物も一切ない。紀伊半島を南北に貫くR169とて酷道の範疇に入るのだが、奈良県内はごく一部を除いて2車線の山岳快走路である。たった1kmしかないので磨り減った神経の休息にもなりはしない。トンネル(音枝トンネル?)手前の池原交差点を右折して単独となる。

 牛廻越の区間同様に断崖を1.0〜1.5車線のくねくね道が続くこの区間も落石・落木が路面に散乱しており、落ちたらまず助からないような谷筋を走っている。また崩落した痕跡も何ヶ所かあった。国道の指定を受けているとは言え、舗装してあるだけで実質は林道と大差ない状況だ。スピードを出すことができないので41kmほどの距離を通り抜けるのに1時間半かかっている。この区間も気軽に入っていくような道路ではないことがうかがえる。ただしこの十津川・下北山間は龍神・十津川間の奈良・和歌山r735のように迂回できるルートがない。R168、R169本宮経由がもっとも最短だろうが、もはや迂回路というより完全に別ルートと言った方が正確かもしれない。



R169池原交差点〜R42坂場交差点
下北山村→上北山村→尾鷲市

98.池原交差点でR169から分岐するといきなりこれである 99.交差点付近だけみると大型車でも何とか通れそう見える
 R169池原交差点を右折した途端にセンターラインがなくなる。1.8車線ほどなのでめちゃくちゃ狭いと言う訳ではないが、「大型車通行できません」や「この先吊橋6t以上通行止め」といった看板があり、この先に困難が待ち構えていることを知らせてくれる。結果からいうと奈良・三重県境は既に通ってきた牛廻越と白谷トンネルの区間に比べると難易度としてはだいぶ下である。それでも酷道であることには変わりない。池原ダム手前はセンターラインはないが大型車同士でもすれ違える幅はある。道路というよりはちょっとした駐車スペースとして機能しているようだ。

100.池原ダムの上を通る 101.池原発電所施設の前を通り過ぎる 102.これも池原発電所の施設?
 池原交差点より数百メートル進むと池原ダムの上を通る。まるで橋の上を通っているかのようだが、わずかにカーブを描いているためこれがダムだと認識できる。ダムの手前には駐車できるスペースがあるのでそこに車を止めて景色を楽しんだりするのも一興かと。ダムを通り終えるとT字路に突き当たる。案内は一切ないのだがここは左折する。池原貯水池を左手に見ながら1.8車線ほどの道を進んで行くと発電所の横を通り抜ける。ここには駐車場が用意してあった(発電所関係者専用かも)。

103.発電所前を通る過ぎるとこの状態が続く 104.林道トボト谷線との分岐。国道は左のダム湖沿いに進む 105.トボトトンネル。何でこんな名前なんやろか??
 池原発電所前を通り過ぎるてからも左にダム湖を望みながら1.8車線ほどの幅の道路を進んでいく。すぐ隣がダム湖だからかきちんとガードレールは設置されているし、落石の類も少ない。今までの極悪な区間(牛廻越・白谷トンネル)に比べるとだいぶ走りやすい。
 池原ダムより2kmほど進むと行く手が二又となっている。通行する車も少ないのだろう、案内看板が設置されていない。どちらも同じような道路状況なのでどっちに進むべきか迷ってしまう。ここの正解は左のダム湖沿いに進む方である。右は林道トボト谷線。分岐付近に看板が立っているのだが案内と言うよりは警告である。この先は林道だから関係者以外入るな、入って何かあっても責任は取らないというようなことが書かれていた。
 林道分岐以降もそれまで同様に1.8車線が続く。ダム湖に沿っていることもあり勾配はほとんどなく非常に緩やかである。トボト谷に架かるトボト橋を渡ってしばらくするとトボトトンネルがある。トボトと名の付くものが三つ連続で現れることからもこのトボトという言葉はそんなにメジャーなものなんだろうか?カナウナギトンネルというのもあったが、何がなんやらさっぱりわからない名前だ。ト-ボトなのかトボ-トなのか、カナ-ウナギなのかカナウ-ナギなのか、どこで区切るのかすらわからない。区切らないのかもしれない。この先にあるクチスボダム同様R425(の東部)には意味不明の名前が多い。

106.備後橋。こいつが6t以上通行禁止の吊橋 107.上北山村に入る 108.落石防止ネットが張ってあるだけだが落石は比較的少ない
 話が脱線してしまった。話を国道に戻そう。清水トンネルと言う今度は普通の名前のトンネルを抜けてなおも進むと吊橋が現れる。備後橋である。池原交差点分岐直後にあった6t車以上通行止めはこの橋を指しているものと思われる。本当に6t以上の車が通れないのかどうかは知らないが、幅は1.5車線と普通車同士の離合もできない。備後橋の手前で林道備後川線が分岐しているが、いきなり崩落復旧現場があるなどかなりヘヴィーな状況である。こんなんを見るとR425は何だかんだ言っても国道なんだなぁと思ってしまう。
 池原交差点より11km、備後橋より2kmで上北山村との村境となる。御坊市と印南町の境を除いてハードな状況の中の町村境が多かったR425だが、ここは御坊・印南境に継ぐさっぱりした境だ。上下北山村の村境標識が立っているだけである。道路状況も狭いものの取り立てて悪いと言うこともない。

109.トラックの止まっている場所の左には坂本ダムがある 110.坂本ダム。これは2001.9に撮影したもの 111.
 1.5〜1.8車線の今までからしたら比較的走りやすい道路を進んでいく。池原交差点から対向車がいないのでもしかしたらこのまま尾鷲まで行ってしまうかもと思っていた矢先にパトカーすれ違った。何かあったんやろか?道路状況の確認を兼ねたパトロールかな?
 だいぶ細くなった池原貯水池の左に見ながらどんどん進んで行くと坂本ダムの真横を通り過ぎる。ダム横にトラックが2台止まっていて、ドライバーらしきおっちゃんが傍でくっちゃべっていた。近くにある看板によると、ダムの上を通るサンギリ林道が崩落かなんかで通行止めのようなので、それの復旧工事の関係車両だろう。ちなみにサンギリ林道は上北山村役場付近に出られる。この坂本ダム以降も道路状況に変化なく酷道のわりには淡々と進むことができる。

112.出合橋。これも備後橋と同じような吊橋である 113.出合橋の東詰は県道との交差点。国道は右折
 淡々と進んでいると坂本ダムから1km強で出合橋が現れる。備後橋と同じ色・同じ構造の吊橋でパッと見は区別がつかないだろう。こちらも1.5車線と少し狭めである。
 出合橋を渡り終えた先はT字路に突き当たる。案内も何もないがここはれっきとした県道(奈良r228)と国道の交差点である。奥に小さく「尾鷲・熊野方面→」という看板と「←東の川郵便局」という看板がある。・・・ゆうびんきょく!?こんな人気のない所に郵便局!?郵便局があるからにはそれなりの集落が形成されているはずだが、こんな辺鄙な所に集落があるとは・・・。行ってみたい気がふつふつと湧き上がってきたがあえてそれを押さえ込んで右折して国道を進む。この奈良r228に関してはリンク先の「県道グランツーリスモ」に走行レポがあるので気になる方はそちらを参照されたし。

114.出合橋以降はダム湖は右に移る 115.県境直前に路上に沢の水が溢れ出ていた 116.県境。尾鷲まであと21km
 東の川郵便局の興奮(?)を抱いたままR425を進む。出合橋以降、ダム湖が右側に移るだけで道路状況や景色に変わり映えはない。今までと同じように山肌にへばりつくような道路なのだが、落石や崩落跡がほとんどないので精神的には負担少なく走ることができる。眺望はあまり利かないのだが、周りを見回しても山ばかりで随分奥地に入ってきたものだと一人感慨深げに思ってしまう。これは不動橋の風景だが、パッと見は中国かどっかの奥地に見える。
 さらに進んで行くと上北山村ナゴセの集落となる。と言っても1軒しかないので集落と言ってよいものかどうか・・・。しかもそれは廃屋だし。国道から離れた所に民家があるのかもしれないが、そこに至るための脇道を認めることができなかった。前述の宮ノ平と言いこのナゴセと言い、すごい所に住んでいるものだ。北山川の水運がメインだった頃はさほど不便に感じなくても今となってはかなり不便な地域なのではないだろうか。
 ナゴセ以降は坂本貯水池も古川という川に姿を変えている。その古川を1回渡りしばらく走ると三重県との県境となる。池原交差点より27km、1時間ほどである。

117.県境を明確に表している。落石防止ネットも境を示している 118.道路情報看板と三重県境標識withおにぎりシール(小) 119.多雨時にはR425の三重県全域が通行止めとなる
 奈良・三重県境付近に少しばかりの駐車スペースがあるのでそこにデトマソを止めて辺りを撮影した。○×峠などというように名称のある県境ではなくトンネルがあるわけでもないのだが、ここが県境だとはっきりと分かるようになっている。No.117の県境標識を見れば一目瞭然。崖にかかる落石防止ネットも県境でプッツリと切れているなにもここまではっきりさせなくてもいいんとちゃうの?県境標識を支える支柱のうち三重県側にだけおにぎりシールが貼られている。また三重県とだけ書かれた県境標識の支柱も同様である。これらを見ると三重県に入ったことを実感できる。
 県境より数十メートル三重県側に通行規制を示す看板が立っている。それによると、奈良県境〜尾鷲市坂場まで大雨の時は通行止め・・・。R425の起点交差点は坂場交差点と言う。つまり大雨が降ればR425の三重県内の全てが通行止めとなるのだ。ここよりはるかにハードな状況だった十津川村や下北山村では集落があるせいか、このような規制はかけられていなかった。ただしあちらはこれ以下の雨量でも崩落なんかが起こりそうだけれども。

120.県境から上北山村方向を撮影
 これは峠付近にあるものを奈良県方向を向いて撮影したもの。十津川まで66km、下北山まで35kmとなっている。言い換えればR168から66km、R169から35kmと言うことになろうか。実際は役場付近までの距離だろうから多少の誤差はあるだろうけど、この距離に近い長さの酷道を走ってきたのだ。

121.三重県内は緩やかな下りが続く 122.特にこれと言ってきついカーブもない 123.おにぎりもあるがそれ以上にシールの存在が目立つ
 県境を越えればようやく起点交差点のある尾鷲市となる。と言ってもかなり外れの方なので民家はおろか人の気配すらしない。道幅1.5〜1.8車線の緩やかな下りが古川沿いに続く。ここも今までと同じく山間部なのだが、上北山村側同様落石の類が少なく路面状況はさほど悪くない。三重県と言うことでやはり目立つのは例のアレである(No.123にカーソルを当ててみてね)
 県境から1.8km走ると八幡トンネルを通る。このトンネルの西側で古川を渡ると同時にそれから逸れる。小刻みなカーブの連続する道路を下っていくと又口川を回りこむようにヘアピンカーブを通過し、これ以降は又口川に沿って尾鷲の街を目指す。川沿いと言えどカーブが緩いものが多く、それなりの速度で走ることができる。
 そんな中を進んで行くとなにか建物が見えた。通り過ぎただけなのではっきりと分からなかったが、林業関係者の詰所?地図を見ると又口と書いてあるので集落があるのかもしれないが、国道沿いにはその建物しかなく人の気配もしなかった。

124.三重県で最初の人気のある人工物はゴミ処理施設 125.重量制限のかかった橋がいくつか架かっている 126.
 又口の集落(?)を通り過ぎてなおも走り続けると今度はゴミ処理場の横を通る。祝日というのにきっちり稼動しているようだった。久しぶりに人の気配のする場所かと思えばそれがゴミ処理場とは少し悲しい気がするのは筆者だけだろうか。これ以降はパッカー車が通るから整備された道路でした、なんてことはない。1.8車線の狭くもなく広くもない中途半端な道幅が続くが、路面は荒れていないので走りにくさはあまり感じない。途中、又口川の支流にかかる橋をいくつか渡るが、どれも6〜14tの重量制限がかけれていた。林業or工事関係車両に向けたものと思われるが詳細は知らない。

127.三重r760付近にある道路情報板(奈良方向を撮影) 128.三重r760交差点。国道は右折して橋を渡る 129.橋上に高さ制限!?と思いきや補助標識は坂下トンネル
 クチスボダムという何やら意味ありげな名前のダムの横を通り過ぎるとすぐに三重r760交差点となる。信号があるわけでもなくただのT字路にしか見えないが、おにぎり・おにぎりシール・ヘキサシールと豪華な顔ぶれである。また電光掲示板もR425、r760ともに用意されている。R425はこれを右折して橋を渡る。橋の手前に重量制限と高さ制限の標識がある。重量の方は橋を指しているのだろうが、高さの方はこの先1kmほどの所にある坂下トンネルを指している。橋を渡ると左に大きくカーブしてさらに進んでいく。

130.坂下トンネル。高さ制限3.5m規制有 131.名称不明の短いトンネル
 三重r760交差点以降も人家のない寂しげな道路を進む。しかし尾鷲の市街地がすぐ近くに迫っているせいか、精神的な余裕が出てくる。道路状況としても狭いことを除けばさほど悪くない。1kmほど進むと坂下トンネルが現れる。R425のこれまでのトンネルは幅・距離を問わず何となくコンクリート製の無機質なものが多かったが、この坂下トンネルは何やら重厚な雰囲気に包まれている。幅は乗用車がすれ違えない程度だ。坂下トンネルから程なくしてまた狭いトンネルが現れる。これもどことなく重厚な雰囲気が漂っているように感じる。

132.ヘアピンを曲がるとようやく尾鷲の街並みが見えてくる 133.どう見ても生活道路にしか見えない
 2個目のトンネルを抜けると左のヘアピンとなる。トンネルを出てすぐの急カーブなので注意が必要だ。直後に今度は右のヘアピンがありそれを過ぎるとようやく尾鷲の街並みが見える。国道沿線ではないがすぐ近くに民家があり、尾鷲という街はコンパクトにまとめられた市街地を持つ市だと感じた。きつい勾配の付いた坂を下りきると民家の間をすり抜けるような生活道路となる。道幅は1.5車線と狭く、側溝に蓋がなければ離合できないだろう。
 生活道路を100mほど進むと行く手が二股に別れる。国道は左なのだが、50m先で車両進入不可となっている。つまり一方通行なのだ。御坊からトレースして来た場合はここを右に進むしかない。山辺トンネルを通り生活道路のような雰囲気の中を通り抜けるとR42にたどり着く。ジャスコとホームセンターの間の信号で5差路なので曜日や時間帯によっては混雑しているかもしれない。

134.一方通行区間。当然、奈良方向を向いて走行中 135.坂場交差点付近。道路脇には墓場が・・・
 ジャスコの信号で一応はR425トレース終了となっているが、折角なので坂場交差点から一方通行区間を走行した。No.133の写真と同じような狭い生活道路だが別ルートで行き来ができるので一方通行規制が敷かれたのだろう。有名なことかもしれないが、坂場交差点付近には墓場がある。R425をここから走り始める者にとってはいきなりのこの展開に不安を覚えるのではなかろうか?

 御坊市北塩屋交差点から尾鷲市坂場交差点まで7時間半。写真を撮りながらの走行とは言え距離を考えればかなりの遅いペースだろう。他の国道との重複区間はそこそこ走りやすいのだが、単独区間に関してはまったく使えない国道だ。御坊市から尾鷲市まで(またはその逆)を走るなら距離は長くなってしまうがR42の方が短時間でかつ安全に着けると思われる。その他にR311というルートもあるがこちらは一部に酷道箇所が残っている。