国道421号
(2010年)
part1

R8友定町交差点〜石槫峠
近江八幡市→東近江市

 2008年9月3日に事件は起こった。折からの集中豪雨に耐え切れず石榑峠東側が崩落してしまったのだ。復旧工事は行われているものの、2年近く経過した2010年7月18日に至っても通行止となったままである。災害規模もさることながら、石榑峠トンネルが貫通し前後の取付道路の整備が進んでいるという現状においては、このまま廃道もしくはそれにそれに近い状態になる事が実しやかに囁かれている。なお、この時の集中豪雨で同時に北のR306鞍掛峠、南のR477武平峠も崩落している。前者は程なく復旧したものの2010年7月18日時点は別の崩落により通行止、後者は2008年から継続して通行止である。

1.R8北側からR421に進入 2.いなべまで50km… 3.近江八幡市武佐町から近江鉄道八日市線と並走
 通行止箇所だけ見に行くのではつまらないという事で終点のR8友定町交差点から走行を開始する。早朝という事もあって交通量の少ないR8からR421に入るとこちらもやはり交通量は少ない。民家が密集した友定町、武佐町を通り抜けると近江鉄道八日市線の手前で左にカーブする。

4.近江鉄道並走区間は快走路 5.R421と言えば八風街道 6.逆光で見難いが滋賀r208小脇町交差点を右折
 近江鉄道と並走するようになってすぐに東近江市に入る。右手に近江鉄道の線路を見ながら直線的かつ平坦な快走路を走る。市辺駅近くで線路とともに左に緩やかにカーブして快走路を進む。が、ここで油断してはいけない。この先の滋賀r208小脇町交差点は直進ではなく右折である。直進も2車線で右折車線がないため案内標識を見落とすと直進してしまいかねない危険な交差点である。。

7.近江鉄道八日市線の踏切を越える 8.東近江市街地に入る 9.ロードサイド店が多く昼間は渋滞しがち
 小脇町交差点を右折した直後に近江鉄道八日市線の踏切を渡る。しばらくは両側に民家が密集している歩道のない状況だが、小脇町南交差点を越えると歩道どころか街路樹まで備えた整備された状況となる。なお、この小脇町南交差点も近江八幡市側からのトレースであれば注意しないといけない交差点である。R421は直進ではなく左斜め前方へ進む道路である。
 小脇町南交差点を過ぎて近江鉄道本線の踏切を越えると東近江市の市街地に入るため沿線は民家よりも店舗が目立つようになる。市の中心部にも近く昼間であれば流れが悪くなりそうな条件を備えている。

10.東本町交差点は道なり右斜め前方へ直進 11.中心部を抜けても快走路 12.名神・八日市IC
 東近江市役所南西の東本町交差点を道なりに右斜め前方へと進む。市の中心部から離れる方向だが、沿線には店舗がまだ多く存在する。札の辻交差点の東の工事も終了したようで急カーブの迂回路も解消していた。市街地から直線的かつ平坦な道路を走っていると名神の八日市ICに至る。

13.早くも起点のある桑名の文字が出てくる 14.r46林田交差点手前で名神とクロス
 八日市IC口交差点を過ぎた所の案内標識には早くも起点のある桑名の文字が出てくる。友定町付近にはいなべまでの距離があったし、まるで三重県側に通り抜けできそうな気配すら漂ってくる。当然ながら石榑峠を迂回すれば53kmなどという距離では済まない。

15.沿線は民家の割合が多くなる 16.「R421三重県側 崖崩れ 通行止」 17.R307御園交差点
 八日市IC以東は東近江市街地から離れるせいもあって沿線の様子に変化があり、店舗中心から民家が中心となる。マックスバリュの前を通り過ぎるとR307御園交差点に至る。右折が甲賀・日野方面、左折が彦根・愛荘方面、直進がいなべ方面となっている。実は災害復旧工事は既に完了していてこのまま石榑峠を越えられるのではと思えるが、御園交差点手前の電光掲示板にはしっかりと「崖崩れ 通行止」の文字が確認されている。2年近い通行止にもかかわらず案内標識を放置するとはねぇ…。石榑峠トンネルの開通もしばらく先である事を考えれば、上からテープでも何でも貼っておけば良いのにと思うのは筆者だけだろうか。

18.御園交差点のすぐ東の電光掲示板も通行止 19.快走路が続く 20.滋賀県側最後のコンビニを通過
 御園交差点を過ぎても2車線快走路が続いている。道路状況が良いのに加えて御園交差点以東は交通量が少なくなり走りやすさに拍車をかけている。もちろん信号の数も少ない。ただし、紅葉シーズン中の好天の休日は交通量が増大する事もある。
 そんな快走路をひたすら走っていると御園交差点から約4kmで某緑色のコンビニを通過する。田舎にある割には駐車場の狭いコンビニだが、これが滋賀県側最後のコンビニである。この先には自販機や土産物屋はあるが、補給・休憩・ルート確認等の酷道走行の最終準備はここで行うようにしたい。

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21.東近江市永源寺寺支所前の電光掲示板も通行止表示 22.永源寺から東はアップダウンあり 23.r188現道との交差点を通過
 最後のコンビニから程なくして東近江市永源寺支所を通過する。そこには電光掲示板が新設されており、その表示はもちろん「通行止」の文字が入っている。永源寺支所を過ぎて和南川を渡ると急に勾配がきつくなり、その後はアップダウンを繰り返す。とは言っても広めの2車線道路なので走りにくい道路状況ではない。永源寺へのアクセス路となる滋賀r188現道との交差点を通過する。前述の紅葉期の交通はこの永源寺に集中する事が多く、r188現道・バイパスどちらの交差点も渋滞発生源になっている。

24.規制予告標識も無修正 25.建設中のバイパスは6年前と同じ姿 26.相谷第一トンネルは供用済み
 永源寺から離れると適度なアップダウンで永源寺相谷町の南側を通過する。ここにも石榑峠の東側、つまり三重県側の最大幅規制を警告する標識が立てられているが、通行止が続いている状況でも一切修正されていない。なお、この標識の設置者は滋賀県ではなく三重県である(正確には桑名建設部)。
 永源寺ダムの南を通りその管理事務所への分岐辺りでセンターラインがなくなり道幅が2.0車線と狭くなる。現道のすぐ左側にバイパスの橋梁が造られている箇所もある。だが、6年前から全く変化がなく工事途中で放置された感が漂っている。その先の相谷第一トンネルは6年前に工事中だったものが供用されていた。

27.佐目集落から先は狭路となる 28.「橋梁上 大型車 連続走行 禁止」 29.萱尾集落
 永源寺ダム以降はダム湖沿いに進む。道幅は1.8〜2.0車線と広くないうえに小刻みなカーブが連続しておりスピードはあまり出せない。ダム湖畔道路のよくあるパターンに漏れず勾配はほとんどない。佐目子谷川に架かる1.8車線の橋には「橋梁上 大型車 連続走行 禁止」と書かれた看板が立てられており、言わずもがな対象は石榑峠バイパスの建設車両だろう。萱尾という小さな集落を通過しなおもダム湖沿いに進む。

30.越渓橋 31.越渓橋北詰の工事看板 32.通行規制標識は無修正
 萱尾集落から先もダム湖沿いにカーブが連続した狭路を走る。ダム湖と川との境目に当たる場所で越渓橋を渡ってT字路に突き当たる。R421はここを右折して愛知川右岸を走る。このT字路付近に石榑道路に伴う工事による通行止を示す看板が設置されているが、隣の車幅制限は修正されていないが、設置者は桑名建設事務所から桑名建設部へと修正されていた。

33.越渓橋の先は快走路となる 34.r34交差点手前にも電光掲示板が新設されていた 35.黄和田集落
 越渓橋から先は2車線となって愛知川右岸を快走する。愛知川自体が蛇行している区間ではないためそれに沿うR421もカーブが少なく走りやすい。越渓橋から約1.9kmで滋賀r34交差点を通過し、蓼畑町集落に入り愛知川を渡ってから黄和田集落を通り再び愛知川を渡る。

36.滋賀県側最後の集落、杠葉尾 37.鈴鹿キャンプ場の手前で工事区間開始 38.「“絶対”通り抜けできません」
 黄和田を抜けて少し走ると滋賀県側最後の集落である杠葉尾を通過する。通過すると言っても集落の只中ではなく南側をバイパスしており沿線の民家はほとんどない。道路に面しているのは緩やかな下りの途中にある土産物店くらいである。7%勾配を上ってから下りへと転じ、下りきった所で神崎川に架かる橋を渡る。はずだが橋の手前でバイパス工事が行われていた。「三重県側 全面通行止」という看板は通行止箇所によく見られる文言だが、その脇には「三重県側 絶対通り抜けできません」という看板も立てられている。

39.仮設橋で神崎川を渡る 40.かつて冬季閉鎖ゲートがあった場所に電光掲示板 41.既に開通している箇所もあり
 神崎川を仮設橋で渡ると鈴鹿キャンプ場の脇に出る。工事が始まる前はここに冬季閉鎖ゲートが設置されていたが、工事に伴い跡形もなく撤去されている。ほぼ同じ場所に電光掲示板が設置されている。片側だけ暫定的に走れるようにした工事現場を上っていくと既に開通している区間もある。京の水前後は旧道が残されておりアクセスは可能である。

42.京の水の東は工事中 43.バイパスの橋脚の脇を通過 44.遠からず旧道になる区間は狭い
 京の水を過ぎるとバイパス区間が終わり現道へと入らなければならない。バイパスは谷を橋で越える構造のようで、現道はその下を通りつつ峠に向かう。僅かに残る現道は1.0車線と非常に狭い。

45.現道の上にバイパスを建設? 46.茨川林道は閉鎖されていない 47.工事をしていればまず通れないだろう
 橋梁区間を過ぎると再び現道の上にバイパスを造っているようで工事現場を通らなければならない。ここも2車線の内の片側だけが通れるようになっている。意外にも茨川林道は閉鎖されていないばかりか、入口を示す看板まで設置されていた。工事中も開放する理由があるのだろうか。
 それはともかく、バイパス工事現場の真っただ中を通る機会はそうそうないのでこれはこれで良い経験(?)ができた。それにしても失われた旧道に比べてこのバイパスは勾配がきつい。登坂車線が設けられなければ前に重量トラックがいると色々と厳しいかもしれない。

48.バイパス工事区間終了 49.石榑トンネルが口を開けている 50.工事概要看板
 急勾配を上り切った所で往く手の橋梁が完成しておらず現道に戻される。八風谷に架かる橋を渡った先で石榑トンネルが視界に飛び込んでくる。傍らにはトンネルの維持管理用の施設と思われる建物ができており、工事看板によるとトンネル内の照明工事を行っている最中らしい。トンネルは2年前に貫通しており滋賀県側の狭路も遠からず快走2車線道路に生まれ変わるだろう。永源寺ダム湖畔の区間が若干狭くてカーブが多いので、そこが交通量の増加に耐えうるのだろうか。

51.トンネル入口を抜けると1.0車線狭路となる 52.通行止ゲートは半開き 53.意外に路面は荒れていない
 トンネルの入口の前を通過すると1.0車線狭路が待ち受けている。これまでの区間はトンネルまでのアプローチ路として整備されてしまったが、ここからは従来の石榑峠区間の状況を残している。要するにトンネル開通後は旧道となり今以上に整備されなくなってしまう可能性が高い。
 トンネル入口から約0.2km進むと通行止の簡易的なゲートが設置されている。ガードレールを流用したゲートは左半分を塞いではいるものの右半分は閉ざされていない。大きく「通行止」と書かれた看板に小さく「県境以遠」と書き加えられており、“県境までは通行できる”と解釈できる。筆者はそう解釈してゲートを通過した。ゲートの奥は1.5車線と強烈に狭くもなく勾配も強烈にきついわけでもない。むしろ通行止になっている割に路面は荒れていない事に驚きを禁じえない。

54.2ヶ所目の通行止看板 55.新しいガードレールも見られる 56.対向車が来たら側溝の存在が邪魔に思える
 1.5車線区間の終わりにも通行止と書かれた看板が立てられており、隣のご迷惑看板には県境以遠が工事現場である事が記されている。あとは、山肌に沿ったカーブが連続する狭路をひたすら走る。バイパス工事開始前はここに至る前が鬱蒼とした杉林を抜けていたせいで幾分か解放感を感じられたものだが、その鬱蒼区間が改良されてしまった後ではただの走りにくい山道である。
 離合不能な道幅に連続するブラインドカーブと走りにくさを語る上に外せない要素を持っており、さらにはなまじ設けられた側溝が離合をさらに難しくしている。場所によっては両側に側溝が設けられている所もある。

57.砂粒が路面にも流出している 58.やけにきれいな球状の岩が落ちている 59.峠に着くと霧が発生
 カーブが連続する狭路をひたすら走る。通り抜けできない通行止区間の割に路面状況は悪くない。落石や落木があったり路肩に苔が生えていたりと国道らしからぬ状況には違いないが、荒れ果てているという印象ではない。それよりも厄介なのが路面に浮いている砂。ちょうど学校のグラウンドの砂のようと言えば分かりやすいだろうか。それが路面にあるせいで滑りやすくなっている。四輪はともなく二輪はタイヤを取られて転倒しかねない。
 石榑トンネル入口から約5.0kmで石榑峠に到達する。トンネル入口との標高差は約200mである。そして峠に着くとあれほどの晴天から一転して小雨が降る霧がかった天候になってしまった。

60.県境 61.大安町からいなべ市に変更済み 62.永源寺町から東近江市にも変更済み
 霧に視界を奪われつつ県境に到着する。2004年3月31日からの変化としてまず県境標識の市町部分が交換されている点が挙げられる。当時はそれぞれ合併から3か月経過していたにもかかわらず交換されていなかったが、さすがに現役の国道なので6年も経てば交換されていて当然だろう。残念なことに滋賀県標識の右下のおにぎりシールは無残にも半分が失われている。もう一つの変化として、竜ヶ岳への登山ルート側に土砂流出防止ようのコンクリート堤が造られていた。そのおかげでただでさえ広くない峠の駐車スペースがさらに狭くなってしまった。

63.コンクリートゲートは健在なるも 64.通行止 65.背後から撮影
 県境標識の前後はカーブになっており例のコンクリートゲートは直前までその姿を見せない。県境を越えてようやく視界に入るコンクリートゲートだが、その手前できっちりバリケードが築かれており車両ではゲートに近づけない。そのゲートをくぐりぬけたところでゲートそのものが閉鎖されていて通行不能。もっとも「通行止」とされているのだから通れなくて当然かもしれない。しかしゲートの脇にバイパス(?)が造られており車両が通行した痕跡も確認できる。言わずもがな、工事関係車両が通行するものだろう。

66.これは健在 67.最大幅標識と道路情報板も健在 68.滋賀県側も危ない気がする
 県境標識とゲート封鎖以外は2004年3月とさほど変化は見られない。2トン車以上が通行できない旨を警告する標識や2.0mの最大幅標識、中身のない道路情報板は6年前のままである。
 それよりも峠の滋賀県側がヤバい事になっている。アスファルトは比較的きれいだが、その下の地盤がヤバい。豪雨や地震といった何かがあれば脆く崩れてしまいそうだ。

69.三重県側にちょっとお邪魔する 70.ゲートから30m程先で復旧工事中 71.分かりづらいが道がない
 三重県側の様子も見てみようという事で徒歩でちょっとお邪魔する。NTTの電波塔への道と合流した先で左にカーブしているが、そのカーブを曲がるといきなり工事現場となる。ショベルが道路をふさぐ形で置かれており、左右の僅かな隙間にも鎖やらA型バリケードが置かれており、通す意思がまったくない事をアピールしている。そんな措置なのだが、ショベルの先には道がない。件の集中豪雨で崩れたのか、奥の砂防ダムもしくは道路そのものの復旧のために敢えて崩したのかは不明である。オレンジ色のショベルが置かれている場所に徒歩で反対側に行けるようになっていたものの、小雨がぱらついている事もあってそのまま引き返した。
 →通行可能だった2004年3月31日の様子はこちら

国道421号(2010年) part2