国道361号旧道
権兵衛峠


権兵衛峠道路旧道(伊那市・南箕輪村側端点)
1.長野r203交差点左折直後 2.離合不能の完全1.0車線 3.市道(?)との交差点を道なりに右へ進む
 長野r203与地交差点から旧道へと入る。この旧道は権兵衛峠峠を通っている道路は異なり、約2.8km先で車両通行不能、つまり点線区間の端点となっている。ウォッちずでは端点より西は登山道ではあるが、国道色に塗られており、所謂点線国道となっている。権兵衛トンネルの開通後の2009年10月の時点でも国道扱いされていた。

 そんな権兵衛峠の旧道は与地交差点の直後こそ1.8〜2.0車線幅と多少狭い程度だが、すぐに1.0車線幅と狭くなってしまう。離合を全く考慮していない完全1.0車線幅に加えて落石も多く、打ち捨てられた旧道に相応しい様相を呈してくる。与地交差点から約1.1kmで市道だか林道だか分からない道路と交差する。道なりに右方向へ進むのが旧道だが、逆方向から見ると市道(林道?)の方が道路状況が良い。

権兵衛峠道路旧道(伊那市・南箕輪村側端点)
4.おそらく廃村・廃屋 5.つ、通学路!? 6.車の往来はある模様
 市道(林道?)との交差点の直後には家屋があるものの日常的に使用されているようには見えず廃屋と思われる。そんな場所にもかかわらず「通学路」の標識(正確には補助標識のみ)が生き残っている事に驚かされる。その標識跡の先で伊那市から南箕輪村(飛び地)に入るのだが、境標識は設置されていない。南箕輪村に入ってからは完全1.0車線幅の落石地帯を走る。大量の石が路面に散らばっている所があるが、轍部分だけ石がない事からもある程度の交通量はあるのかもしれない。

権兵衛峠道路旧道(伊那市・南箕輪村側端点)
7.ガードレールのない1.0車線狭路 8.深く荒れた路上河川 9.権兵衛トンネルの高架の下にも路上河川
 ガードレールもなくなった北沢沿いの狭路を走る。与地交差点から約2.3k走ると路上河川が現れる。交通量の少ない場所の路上河川だけあって結構深く、底部には砂利が溜まっている。権兵衛峠道路を見上げながら2ヶ所目の路上河川を通過すると端点が近くなってくる。

権兵衛峠道路旧道(伊那市・南箕輪村側端点)
10.権兵衛トンネルの直下で車道が途切れる 11.橋の先を左手に行くのがR361 12.権兵衛峠の点線区間の始まり
 与地交差点から約2.8km、権兵衛トンネルの坑口の直下で車道が終わる。国道自体は北沢に架かる橋を渡った先で登山道へと続いていた。ここから権兵衛峠までは直線であれば2kmも離れていないが、高低差は500m程あるので、登山道としてもそれなりの酷な行程ではなかろうか。


権兵衛峠道路旧道(伊那市・南箕輪村側)
1.左方向に伸びる道路が権兵衛峠旧道 2.通行当時(2009年7月)峠の旧道は通行止 3.羽広保養センターまでは普通
 権兵衛峠の伊那市・南箕輪村側端点から引き返して長野r203与地交差点に戻り、左折して権兵衛トンネルに向かわずに直進してr203に進んで権兵衛峠旧道に向かう。権兵衛トンネルの開通以前はこの旧道が伊那・南箕輪村と塩尻市(旧楢川村)を結んでいた。2009年の時点ではウォッちずでは国道色に塗られていたが、標識等の設置者が伊那市に変わっていたため、既に市道になっていたものと思われる。

 右にカーブしているr203を左折して旧道に入る。案内標識はR361のおにぎりと行き先が消されており、この事からも国道から降格している事が分かる。道路情報板は一見すると国道当時のままだったが、連絡先が伊那市に変更されていた。その道路情報板には落石・崩落のため木曽方面に通り抜けられないという内容が表示されていた。

権兵衛峠道路旧道(伊那市・南箕輪村側)
4.表現が遠まわしで分かりにくい 5.国道旧道とは言え元は林道 6.旧道となっても南澤鉱泉は営業中
 羽広保養センター過ぎてすぐに砂利道とのY字路となり、そこに伊那市役所による看板が立てられている。曰く、「林道御射山線交差点から3km先までは通行できる」とのこと。
 国道の旧道とは言え元々は林道だったものを国道にしただけなので道幅は1.0〜1.5車線幅と狭く、権兵衛トンネルの開通により交通量が少なくなり、路肩の堆積物により有効道幅がさらに狭くなっている。それでも端点に向かう区間に比べると幾分かは走りやすい。

権兵衛峠道路旧道(伊那市・南箕輪村側)
7.かつての冬季閉鎖用ゲート 8.旧道だけあって落ち葉が堆積している 9.古びた標識が哀愁を感じさせる
 南澤鉱泉への分岐を過ぎて少し走ると通行止ゲートが現れる。その手前には道路情報板が立てられており、冬季はもちろん既定の雨量を超えた際はここから西が通行止になっていたのであろう。走行当時は崩落により木曽方面に通り抜けられないとなっていたもののゲートは解放されていた。
 ゲートを通過すると両側に落ち葉が堆積した実質1.0車線幅の狭路を走る。権兵衛トンネルの開通以前はこの辺りでは数少ない東西に抜けられる道路だったため、少ないながらも交通量があったが、旧道となってしまった今ではわざわざ通る車両はまずいない。と思っていると路上駐車車両があるので全く交通量がないという訳でもないようだ。

権兵衛峠道路旧道(伊那市・南箕輪村側)
10.2つ目のゲートも開放 11.御射山林道との交差点を直進 12.林道交差点の先にもゲート
 眺望の利かない実質1.0車線幅のブラインドカーブの連続する狭路をひたすら走っていると2つ目のゲートを通過する。その直後に御射山林道との交差点がある。長野r203交差点から約5.5kmである。旧道はここから西が通行止となっており、木曽方面に行くには、左折して御射山林道を経由して権兵衛トンネルを通らなけばならない。しかし、通行止箇所はさらに3km走らなければならないため、車を奥に進める。

権兵衛峠道路旧道(伊那市・南箕輪村側)
13.林道以降はさらに路面が荒れる 14.路上河川あり 15.落石あり
 御射山林道との交差点からは路面状況が悪化する。悪化すると言っても元々が悪いのだから殊更驚くレベルではないかもしれない。相変わらずブラインドカーブが連続する実質1.0車線幅の道路を走る。途中には路上河川も設置されており、そこそこの水量があった。路上河川を過ぎると落石等が散見されるようになり、交通量が少ないことが分かる。

権兵衛峠道路旧道(伊那市・南箕輪村側)
16.警告どおり通行止されている 17.ゲートの奥に2つ目のゲート 18.通行止区間はさらに荒れている
 長野r203交差点から約8.0kmで看板や道路情報板に書かれていた通行止地点に至る。鉄パイプのみで構成された簡易的なゲートの奥にはちゃんとしたゲートが設置されていて車両の進入を拒んでいる。ゲートの奥は車両が通行する事がないため路面は荒れている。

 閉ざされたゲートを突破する意思はなく、来た道を引き返して御射山林道を経由して権兵衛トンネルに向かい、塩尻市側の端点に向かう。なお、御射山林道の方が権兵衛峠旧道よりも走りやすかった事を付け加えておく。


権兵衛峠道路旧道(塩尻市側)
1.塩尻市側のゲートは仮設ながら強固 2.ゲートの奥は雑草が茂り始めている 3.ゲートの西側には展望台がある
 権兵衛トンネルを抜けた直後のT字路を左折して直後の突き当りを右折。荒れた路面と雑草生い茂る法面の狭路を8.4km程進むと権兵衛峠旧道の塩尻市側の通行止地点に至る。塩尻市と南箕輪村飛び地との境から1.2km程東に仮設ながらガードの固いゲートが車両の進入を阻んでいる。ゲートの奥は路肩だけでなく轍部分にも雑草は生えており、伊那市南箕輪村側同様に復旧工事をやっている気配はまったく感じられない。

権兵衛峠道路旧道(塩尻市側)
4.権兵衛峠の碑 5.信州のサンセットポイント百選の権兵衛峠展望台
 ゲートから振り返ると権兵衛峠展望台があり、おそらくはこれがあるためにここまで通行が可能となっているのだろう。権兵衛峠の碑は色あせており古さを感じさせるが、左にある信州サンセットポイント百選を示すものは新しく管理なり維持なりの手が入っていなくもない事を思わせる。ここまでの道路状況が草木に覆われた展望台しか想像させなかった点からも意外であった。

権兵衛峠道路旧道(塩尻市側)
6.展望台を出た途端にヤバイ感じになる 7.舗装のヒビからは雑草が生えている 8.権兵衛峠無線中継所
 権兵衛峠展望台を後にして車を走らせる。道路両側からせり出してくる草木や舗装のひび割れ部分から顔を出す雑草や路面に苔、それらが交通量のほとんどない行き止まりの旧道である事を教えてくれる。通行止故につい先ほど走った道路なので新鮮味には欠けるのは致し方ないだろう。通行止地点から約600mでドコモの権兵衛峠無線中継所の前を通り過ぎる。無線中継所そのものはここから200m程登った所にありそこまでは階段とモノレールが延びているようだ。

権兵衛峠道路旧道(塩尻市側)
9.市村境まではこんな状況が続く 10.中途半端なゲートを通過 11.塩尻市に入る
 無線中継所を過ぎると施設の管理者が往来しているであろう区間となるが、道路状況にはほとんど変化はない。両側からせり出した草木の間の1.0車線をクネクネと走る。そして通行止地点から走ること1.2kmで南箕輪村飛び地と塩尻市との境となる。楢川村が塩尻市に吸収されたのが2005年4月1日、権兵衛峠道路の開通が2006年2月4日であったため市境標識が塩尻市に替えられているが、開通が合併より先であれば標識は替えられたであろうか。反対側の南箕輪村の標識は生い茂る雑草により存在が確認できなかった。

権兵衛峠道路旧道(塩尻市側)
12.案内標識は放置 13.下り勾配10% 14.ループと見紛うようなカーブ
 塩尻市に入った直後には広場となっており峠の茶屋のような建物があるが営業はしていない模様。その建物を通り過ぎると木曽福島と奈良井までの距離を示す案内標識が現役当時のまま立っている。R361が通っている木曽福島までは23kmであるが、この距離はおそらく姥神トンネル旧道を経由したものだと思われる。
 道幅は恵那市・南箕輪村側に比べて多少は広いものの勾配とカーブの急さはこちらが圧倒的に上である。10%勾配や180度ヘアピンカーブはあちらには見られなかった。ちなみに権兵衛峠点線区間はNo.13の写真の右にカーブしている箇所に接続しており、そこから直線で50m程東が権兵衛峠となっている。

権兵衛峠道路旧道(塩尻市側)
15.広い箇所も出てくる 16.きれいな路面の箇所もある 17.塩尻市側のゲートを通過
 権兵衛峠西の急勾配・急カーブを過ぎるとそれらも落ち着きを見せ、道幅も若干広がり、さらには路面状況も幾分か良くなる。きれいなアスファルトの箇所もあり旧道となってまったく整備されていないというわけでもないようだ。その目的が無線中継所のためなのか展望台のためなのかは不明である。
 通行止地点から約4.2kmで冬季・異常気象時閉鎖用と思われるゲートを通過する。ここまで通行止故にすれ違う車はなかった、と言いたいところだが実は2台の車とすれ違っている。どちらも無線中継所関係者とは思えなかったので展望台目的かもしれない。旧道を含むR361の走破が目的という事もありえる。

権兵衛峠道路旧道(塩尻市側)
18.ゲートから西側はタイヤ痕がびっしり 19.ここにはさすがにタイヤ痕はない 20.この標識がなければY字路に気付かない
 ゲートを越えると路肩は雑草に覆われているものの2車線と広くなるが、カーブが連続している点に変化はない。旧道となって交通量が皆無となったせいかその手の輩が出没しているのは路面のタイヤ痕から容易に想像できる。そんな輩も道幅が狭く路面状況が良くない箇所は走っていないようでタイヤ痕もない。奈良井川沿いの林道(?)とのY字路を過ぎると権兵衛峠道路との合流可能地点も近い。

権兵衛峠道路旧道(塩尻市側)
21.権兵衛峠道路と併走 22.右折すれば権兵衛峠道路 23.高さ制限は4.0m
 路面のきれいな2車線となってすぐに権兵衛峠道路と併走し、少し走るとT字路になる。このT字路を右折すれば権兵衛峠道路、直進すれば番所トンネル旧道となっている。ここは直進して番所トンネル旧道へと進む。

権兵衛峠道路旧道(塩尻市側)
24.両側の草木が交通量の少なさを物語る 25.駐車車両は釣り客のもの? 26.羽渕トンネル手前で現道をくぐる
 R361バイパスの下を通過した先はセンターラインがなくなる。アスファルトそのものは乗用車が充分にすれ違えるだけの幅があるが、両側からせり出している草木のせいで実際に使える幅は狭くなっている。権兵衛トンネル開通以前も現役国道だった区間なので道幅が広くなっている場所も少なからず見られる。バイパスが開通した今となっては通行する車もほとんどなくこの状態でも走りにくいとはあまり感じない。が、通行車両が皆無ではなく渓流釣り客のものらしき車が何台か止まっていた。
 バイパスと少し併走してからアンダーパスで下を通過して比較的短い羽渕トンネル旧道区間へと入る。

権兵衛峠道路旧道(塩尻市側)
27.おにぎり撤去済み 28.小屋が見えてくるとバイパス合流は近い 29.長野r493交差点でバイパスと合流
 羽渕トンネル旧道も番所トンネル旧道とほとんど同じ状況である。1.5〜1.8車線の比較的狭い道幅の鬱蒼とした木々が生い茂る場所である。おにぎりは撤去されたのに地名の補助標識は塩尻市に変更されている。奈良井川を渡ると羽渕集落を通過し、その直後にR361バイパスと合流する。国道トレースを再開するには左折して木曽方面に向かう。